歯科技工士の基礎知識

歯科技工士の労働と賃金についての考え方

 労働基準法第11条は「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与、その他名称のいかんを問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と規定しています。つまり、賃金とは、労働の対価ということができます。
 また、いま1つは「生活保障の原則」に基づいたものです。これは社会生活を営むため、すべての人は一定の水準の賃金を保障されるべきであるとするものです。
 大別すると、「労働対価の原則」、「生活保障の原則」が賃金のもつ意義を占めているわけですが、このうち「労働対価の原則」でいう労働対価は、「労働の価値」と「労働力の価値」によって決定するとされています。
 労働の価値とは、現にその労働者が従事している仕事の価値のことです。いうなれば「歯科技工」に従事することの価値であり、当然「歯科技工」は「歯科技工士法」により業務の独占が保障されており、高い価値の有するものといえます。
 労働力の価値は、その労働者が身につけている技能の社会的価値といわれています。能力の高い人ほど仕事もでき、企業への寄与するところも多く、したがって高い賃金に評価されることになります。また、生活保障の原則は、一定の生計費を保障することが条件であることはいうまでもありません。
 以上述べてきました点を要約しますと、賃金は本来、仕事・能力・生計費の3つの基準で決定されるべきものと考えればよいわけです。他にも仕事のつらさ・仕事の難しさ・仕事の遂行度・知識技能の習得度・年齢等が、賃金決定の基本的要素となります。
 ただダラダラと働いておればよいというのではなく、いかに効率よく仕事を完成させるか、いかに経費を少なく、いかに早く、いかに質の高い義歯や歯科技工物を完成させるかが、歯科技工士の賃金に一番大きく影響することを肝に銘じて知るべきでしょう。
 そのためには人から教えてもらうのではなく、すべてのことを自分から学びとるという、仕事への積極性がなによりも大切です。
 その機会としては、日本歯科技工士会で開催している生涯研修や仲間でスタディグループを作り勉強しあったり、器材メーカーなどが実施する研修会に参加することなどがあげられます。
 日々の勉強を怠らず、経験を積んでいけば、患者さん、歯科医師の信頼を得ることができ、独立、そして歯科技工所の経営者として事業家の仲間入り、一国一城の主となれるでしょう。

引用:日本歯科技工士会編『こうすれば歯科技工士になれる』より抜粋